コロナ禍をきっかけとして、電子契約の導入を検討する企業が増加しました。総務省の令和3年版情報通信白書によると、電子契約を利用する見込みのある企業の割合は8割強に達しています。[注1]電子契約を導入する際、電子契約サービス事業者の電子署名を利用することが一般的です。電子契約の導入には、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。また、電子契約の導入によってどのような費用対効果が得られるのでしょうか。この記事では、電子契約の導入にかかる費用の目安や、削減が期待できるコストについて解説します。
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1. 電子契約の導入にかかる費用目安
電子契約を導入する場合、電子契約サービスを利用することが一般的です。総務省の令和3年版情報通信白書によると、電子契約の利用状況の内訳は以下の通りとなっています。[注1]
電子契約サービス事業者の電子署名を電子契約で採用している | 17.5% |
契約当事者の電子署名を電子契約で採用している | 14.4% |
電子署名を利用しない電子契約を採用している | 14.6% |
電子契約サービス事業者と契約当事者の両方の電子署名を電子契約で採用している | 16.0% |
電子署名を利用しているかわからないが、電子契約を利用している | 4.7% |
電子契約をまだ採用していないが、準備・検討中である | 17.7% |
電子契約をまだ利用しておらず、予定もない | 15.1% |
電子契約の導入企業(67.2%)のうち、なんらかの電子契約サービスを利用している企業の割合は合わせて33.5%です。[注1]電子契約サービスを新たに導入する場合、月額基本料金、初期費用、契約書1通あたりの送信料がかかります。
ここでは、電子契約の導入にかかる費用の目安を詳しく見ていきます。
[注1] 令和3年版情報通信白書|総務省
1-1. 月額基本料金
月額基本料金は、電子契約サービスを利用する間に毎月発生する費用です。特にクラウド型(立会人型)の電子契約サービスを利用する場合に必要になります。月額基本料金は契約するプランによって異なり、毎月10,000円~50,000円程度が目安です。
1-2. 初期費用
初期費用は、電子契約サービスを契約する際にまとめて支払う費用です。電子契約サービス事業者によっては、初期費用がかからないこともあります。初期費用の目安は、50,000円~250,000円程度です。
1-3. 送信料
電子契約サービスでは、契約書の本人確認のため電子署名や電子サインを施します。
送信料とは、契約書1通あたりの電子署名・電子サインにかかる費用です。送信料の目安は、電子署名の有効期間が長い長期署名の場合は200円程度、タイムスタンプのみの簡易的な署名の場合は30円前後です。
2. 電子契約の導入で削減できる費用
電子契約の導入で削減できる費用は4つあります。
- 印紙税
- 印刷費・郵送費
- 保管コスト
- 人件費
電子契約の導入に必要な費用の目安と、電子契約の導入で削減できる費用を比較し、費用対効果を計算しましょう。
2-1. 印紙税
印紙税法で定められた課税文書には、所定の金額の収入印紙を貼る必要があります。不動産売買契約書や工事請負契約書などの契約書も課税文書の一種です。[注2][注3]
区分 | 文書の種類 |
第1号文書 |
|
第2号文書 | 請負に関する契約書 |
第5号文書 | 合併契約書または吸収分割契約書もしくは新設分割計画書 |
第7号文書 | 継続的取引の基本となる契約書 |
しかし、電子契約を締結する場合、電子データで作成した契約書は課税文書には当たらないため、印紙税が課税されません。国税庁も「現物の交付に替えて、PDFファイル等の電磁的記録に変換した媒体を電子メールを利用して送信した時は、課税文書を作成したことにはならないものと解して差し支えないか」という照会に対し、「課税文書を作成したことにはならないから、印紙税の課税原因は発生しないものと考える」という旨の回答をしています。[注4]
収入印紙の金額は、課税文書の区分や契約書の取引金額に応じて変化します。例えば、契約金額が2,000万円の工事請負契約書(第2号文書)を取り交わす場合、契約書1枚あたり2万円の印紙税が課税されます。書面契約から電子契約に切り替えるだけで、多額の収入印紙代を節約することが可能です。
[注2] No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
[注3] No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで|国税庁
[注4] 文書回答事例|国税庁
2-2. 印刷費・郵送費
電子契約を導入すれば、紙の契約書を印刷・製本し、郵送する手間を省くことができます。契約書を印刷するためのコピー用紙代やインク代、契約書を送るための郵送費を削減することが可能です。特に大きなコストカットが見込めるのが郵送費です。例えば、レターパックプラスを利用する場合は1通あたり520円、レターパックライトの場合は1通あたり370円の郵送費が必要です。毎月200件の契約書をレターパックプラスで郵送する場合、郵送費だけで104,000円のコストが発生します。電子契約に切り替えれば、メールで契約書を送付できるため、印刷費や郵送費が発生しません。
2-3. 保管コスト
法人税法により、契約書には7年間の保管期間が定められています。紙の契約書を取り交わした場合、自社の保管スペースやファイルキャビネット、貸倉庫などに保管する必要があります。電子契約なら、契約書の原本を電子データでやりとりするため、物理的な保管場所が必要ありません。ファイルキャビネットの購入費用や貸倉庫の賃料など、契約書の保管コストを削減することが可能です。
2-4. 人件費
電子契約を導入すれば、契約書1通あたりの作業量が減少します。以下は電子契約サービスを用いた契約業務の流れです。
- 契約書のデータを管理画面にアップロードする
- 電子署名を依頼するメールを契約の相手方に送信する
- 相手方の担当者がメールを確認し、必要事項を記入する
スムーズに手続きが進んだ場合、電子契約なら最短1分で契約書のやりとりが完了します。例えば、紙の契約書の作成に10分かかるとすると、契約書1通あたりの作成時間が10分の1に減少します。より少ない人員で契約業務をこなせるため、人件費の削減につながります。
3. 電子契約の導入による費用対効果
それでは、電子契約の導入による費用対効果を試算してみましょう。ここでは、契約金額が200万円~300万円前後の請負契約を毎月100件締結しているものとします。
まず、電子契約の導入によって節約できるコストは以下の通りです。
印紙税 | 100万円 ※契約金額が200万円~300万円のため、印紙税額は1,000円 郵送費 |
郵送費 | 52,000円 ※レターパックプラス(520円)を利用する場合 |
人件費 | 25万円 ※時給1,500円、契約書1件あたりの所要時間10分とした場合 |
総額 | 130万2,000円 |
一方、電子契約サービスの導入によってかかるコストは以下の通りです。
初期費用 | 50,000円 |
月額基本料金 | 10,000円 |
送信料 | 20,000円 ※契約書1件あたり200円とした場合 |
総額 | 80,000円 |
このモデルケースの場合、約122万円のコストを節約し、十分な費用対効果が期待できることがわかります。
4. 電子契約にかかる費用の目安を知り、費用対効果を計算しよう
電子契約を導入する場合、電子契約サービスを利用することが一般的です。電子契約サービスを利用すれば、相手先の企業がサービスを導入していなくても電子契約を導入できます。電子契約サービスを導入する費用は、月額基本料金、初期費用、
基本機能を利用するための料金の3種類です。プランによって費用負担が変わるため、自社に合ったものを選びましょう。電子契約を導入すれば、印紙税、印刷費、郵送費、保管コスト、人件費の5つのコストを削減できます。電子契約の導入に必要なコストと比較し、費用対効果を計算しましょう。
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