現在では、さまざまな書類を電子化して保存することが認められています。
2022年1月1日には改正電子帳簿保存法が施行され、多くの企業が電子的な方法で帳簿や書類を保存するようになりました。
しかし、電子化できる書類と電子化できない書類があるため、どの書類が電子化可能なので知っておかなければなりません。
この記事では、電子化できる書類とそうでない書類について、さらに電子化の際に注意すべき点について解説します。
【弁護士監修】でデジタル改革関連法を徹底解説!
2021年9月に施行されたデジタル改革関連法で、様々な書類の電子化が解禁されました。
とはいえ、「どの書類を電子化できるの?」「実際に契約を電子化した際の業務の流れは?」と、法改正や電子契約についてイメージがついていない方も多いでしょう。そのような方に向け、当サイトではデジタル改革関連法について弁護士が監修した解説資料を無料で配布しております。
新たに電子契約できるようになった書類について法的根拠をもとに解説しているほか、電子契約を用いた実際の業務フローや電子署名の導入手順までを網羅的に解説しています。これ一冊で電子契約について理解できるため、書類の電子化に興味があるという方は、こちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. 電子化できない書類
電子帳簿保存法が施行された後も、電子化できない書類は存在します。
紙で保存することが義務付けられている書類は、今のところ電子化できません。
法規制によって電子化できない書類を3つ見ていきましょう。
1-1. 借地借家法によって書面化が求められているもの
借地借家法によって署名化が求められている書類は、電子化できません。
ただし、今後電子化が可能になるかもしれない点に注意が必要です。
具体的には、定期借地契約書や定期建物賃貸借契約書、定期建物賃貸借の説明書面などが該当します。
1-2. 宅建業法によって書面化が求められているもの
借地借家法だけでなく、宅建業法によって書面化が求められているものも、電子化できません。
具体的には、媒介契約書や重要事項説明書、売買契約・交換契約・賃貸契約書などです。
1-3. 公正証書が要求されるもの
公正証書が要求される書類に関しては、電子化することはできません。
公正証書は公証人の前で作成される必要があるため、書面を作成しなければならないからです。
たとえば、任意後見契約書は公正証書によることと定められているので、電子的に作成したり保存したりできません。
3. 電子化できる書類
電子化できる書類は多岐にわたります。
必要ない書類まで電子化してしまうと、事務作業が増える点に注意が必要です。
では、電子化できる重要な書類にについて見ていきましょう。
3-1. 業務委託契約書
業務委託契約書はフリーランスと契約する際によく用いられます。
業務を外部のものに委託することで報酬を支払う契約です。
業務委託契約書は、電子化することができます。
3-2. 顧問契約書
顧問契約書は、弁護士や税理士が企業をサポートする際に用いられます。
顧問契約書も電子化できる書類の一つです。
3-3. 雇用契約書
労働者が入社するときに結ぶ雇用契約の契約書です。
雇用契約書は電子化が可能です。
さらに、雇用契約を結ぶ際には労働条件通知書を交付することが義務付けられています。
労働条件通知書は、労働者の希望があれば電子的に発行することが可能です。
ただし、労働者が希望しない場合には、労働条件通知書を書面で発行しなければならないので注意しましょう。
3-4. 会社経営に関する書類
会社経営に関する書類の中には、電子化できるものがあります。
たとえば、会社の定款、組合員の名簿、株主総会議事録などが該当します。
3-5. 帳簿関連
確定申告に用いる帳簿も、電子化できる書類の一つです。
貸借対照表や損益計算書、監査報告書などの書類は電子化できます。
ただし、確定申告で帳簿等を電子化する場合には事前に税務署に届け出が必要になるので注意しましょう。
4. 書類を電子化するときの注意点
電子化できる書類は数多くありますが、どんな形でも電子化すればよいというわけではありません。
書類を電子化する際には、ルールに則って保存することが求められます。
もし保存の際の注意点に留意しないと、トラブルになることがあるので注意しなければなりません。
では、書類を電子化するときの注意点を6つ見ていきましょう。
4-1. 真実性の確保
契約書や請求書を電子化する際には、真実性の確保というポイントを押さえておかなければなりません。
確かに本人が署名したこと、いつ署名が行われたのかはっきりしていることなどが必要となります。
たとえば、タイムスタンプの付与や電子署名によるサインなどによって真実性の確保が行えるでしょう。
タイムスタンプは、いつ署名が行われたのかを示すもので、契約の日時が分かります。
一方、電子署名を行えば、その電子文書が改ざんされていないことを証明できます。
4-2. 可視性の確保
真実性の確保とともに電子帳簿保存法によって定められているのが、可視性の確保です。
可視性の確保はその名の通り、見て確認できる状態にあるかどうかが重要となります。
とくに検索できることが非常に重要であり、取引年月日や勘定科目、取引金額といった項目によって必要な書類を検索できなければなりません。
スキャナーで書類を電子的に保存する場合、200dpi以上の解像度で、かつ赤・緑・青それぞれ256階調以上のカラー画像による読み取りでなければならないという決まりもあります。
4-3. 見読性
電子帳簿保存法は、契約書や請求書など重要な書類を保存するためのものですが、その他の書類を保存する場合にはe-文書法に従わなければなりません。
e-文書法に対応する際の一つ目のポイントは、「見読性」です。
見読性とは、パソコンのモニターやスマートフォンの画面で閲覧した時に、文字や数値がしっかりと読めることを指します。
パソコンやタブレット、スマートフォンで読めることに加え、必要なときにすぐに書類を表示したり紙に出力したりできるようになっていなければなりません。
もちろん、紙に出力した際にも、文字がかすれたり潰れたりせず、はっきり読めることが必要です。
4-4. 検索性
e-文書法では、電子化した書類の検索性も求められます。
検索性は、電子化した書類を名前や取引先の名称などによってすぐに検索できる状態にしておくことです。
紙の書類は、取引先ごとや年度ごとにファイリングされており、すぐに書類を見つけられるようになっています。
電子化した書類を見つけるのに時間がかかるようでは、電子化のメリットを最大限生かすことができません。
そのため、書類の電子化では高い検索性が基本要件の一つになっているのです。
4-5. 完全性
電子化された書類は、しっかり管理していないと改ざんされたり消去されてしまったりする恐れがあります。
意図的なものでなかったとしても、データの破損や消失が生じ得るものです。
電子化された書類を保存している間、不正にアクセスされたり改ざんされたりすることがないよう措置を講じなければなりません。
さらに、改ざんや消去がなされていないことを確認できる処置を取ることも必要で、変更が加えられた場合には変更内容が分かっていなければなりません。
4-6. 機密性
電子化された書類は、社内外を問わず誰かが簡単にアクセスできないような機密性が守られていなければなりません。
許可を得ていない人がアクセスることがないよう、パスワードを設定したり閲覧記録を取ったりすることが求められます。
5. 書類を電子化する時にはルールを守って保存しよう
書類の中には電子化できるものとできないものがあります。
電子化できるものであっても、いくつかの要件を満たしていなければ正式なものとは見なされません。
電子帳簿保存法やe-文書法の要件を確認しながら、正式に認められる形で書類を保存するよう心がけましょう。
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